オレ様専務を24時間 護衛する
「次にいつ逢えるか分からないから、見送りに来てくれる?」
「…………」
潤んだ瞳が俺を捕らえている。
けれど、14時の便って事は15時の商談に間に合わない。
どう考えたって答えは解りきっている。
「悪い。大事な商談が入っているから無理だ」
「…………そう」
悲しそうな瞳で俺を見つめ、無理やり笑みを浮かべた。
彼女は再び俺の胸に顔を埋め、
この時間さえも惜しむかのようにギュッと俺を抱き締めた。
そんな彼女の髪をそっと撫でて……。
「………ごめん」
「ううん、………いいの。我が儘言って私の方こそ、ごめんなさい」
珍しくしおらしい彼女の姿にどうしていいのか解らない。
俺は無言で髪を撫でた。
暫くして、漸く落ち着いたのか……。
「そろそろ帰りましょうか?」
「………そうだな」
俺は彼女の肩を抱き、運転手の待つ駐車場へと向かった。