オレ様専務を24時間 護衛する
「恋人同士なら………」
「………」
「その………、キ、………キスをしますよね?」
「………?」
「キ、キスするって事は、箸を付けた物を口にするのと同じだと思いますが……」
「ッ?!」
俺は松波の言葉に面を食らった。
盲点というか、完全に抜けていたというか……。
そう言われてみれば……そうだよな。
箸が云々、食べかけが云々ではない。
そもそも、俺はコイツと何度もキスをしてるじゃないか!
なのに、何故……??
俺はコイツにしたのと同じように、何故出来ないんだ?
松波の事を『男』だと思っていたからか?
……いや、違う。
コイツが『女』だと判明した後にもキスをした。
それも、両親が居合わせるパーティー会場で。
松波にキスをした後、
俺は『汚らわしい』と思ったか?
……いや、そんな事、考えもしなかった。
じゃあ、何故、
彼女に対して松波と同じようにキスしなかったんだ?
何度も何度も自問自答してみるが、
明確な答えは出て来なかった。