オレ様専務を24時間 護衛する
15 涙とヘアピンの行方
希和side
京夜様が恋人とデートに出掛けた夜。
帰宅後、いつも通りに家事をこなす。
別に誰かにチェックされる訳でもないのに
何故か、カラダが反応するみたいに動いていた。
1人で摂る夕食。
味付けを失敗した訳じゃないのに美味しくない。
理由は解っている。
1人で摂るのは味気ないという事。
彼が目の前にいないというだけで、
こんなにも日常が歪むという事を初めて思い知らされた。
同棲生活がすっかり板につき、
私は1人でいる事に虚無感を覚え始めていた。
今日は贅沢にジャグジー風呂にでも入ろうかな?
たまにはこんな贅沢があってもいいよね?
静まり返る室内に自分の足音だけが響いている。
お風呂から上がり髪を乾かして、ホッとひと息。
ホットミルクを手にして、
リビングのソファに腰を下ろした。
普段なら今時間にリビングで晩酌している筈の彼がそこにはいない。
何故か落ち着かなくて、
無意識に玄関の方へ視線を向けた。
けれど、帰って来るはずもなく……。
ホットミルクを飲み終えた私は、
翌朝の朝食の下ごしらえをする事にした。