オレ様専務を24時間 護衛する
一通りの準備が終わる頃、
思っていた時間よりかなり早くに帰宅した彼。
ご主人様を待ち侘びた子犬のように
無意識に玄関へと走っていた。
「お帰りなさいませ。早かったのですね」
「………あぁ」
数時間ぶりに見た彼が別人に思えた。
……何だろう?
外見はいつもと変わらないのに、
何となく距離を感じてしまうというか……。
今日も夕食を摂り損ねたようだ。
何料理を食べて来られたのか聞きたい所だけど、
とても聞ける状態では無い。
何だか、とても疲れているご様子。
私は胃に優しい温野菜の料理を準備した。
時間も時間だし、あまりパンチの効いた食事はねぇ。
キッチンを片付けハーブティーをお出しすると、
突飛な質問が降って来た。
「普通……、恋人が箸を付けた物は平気で食べるものだよな?」
何?……その質問。
もしかして、彼女と何かあったの?!
彼の表情を窺いながら、差し障りのない言葉を並べてみる。
すると、彼は食い入るように見据えて来た。
………やっぱり、ビンゴな訳??