オレ様専務を24時間 護衛する

京夜side



出社早々、気合いを入れた。

――――理由は一目瞭然。



俺は昨夜、念の為にとフライト時間を調べてみた。

成田からのカナダ(トロント・バンクーバー)行きに

14時台の便が1つも無かった。


国際線だが念の為に羽田を調べてみると、

バンクーバー行きの便があった。


知ってしまったからには落ち着かない。

ベッドに横たわり、天井を見上げ思考を巡らす。


―――――商談時間が変更出来れば……。


社会人として最低な考えがチラついて

中々寝付く事が出来ないでいた。




翌朝、朝食を摂りながら自問自答してみた。

『本当はどうしたいのか?』

その答えは、食べ終わる頃には明らかになっていた。


―――――彼女に逢いに行く


例え、彼女に逢えなかったとしても構わない。

もう、後悔はしたくないんだ。



………あの日。

彼女が立ち去る背中をただじっと見つめているだけで

俺は何一つ出来ずにいた。


『ありがとう』も『さようなら』さえも言えず。


だから、自分の気持ちに素直になる事にしたんだ。



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