オレ様専務を24時間 護衛する
「………そうなのよ、思ってた以上に早く済みそうだわ」
何やら、彼女は親しそうに会話していた。
そんな彼女の髪に触れようと手を伸ばした、次の瞬間!!
「えぇっ?!ありえない!それは絶対にない!!死んでもあんな男、好きにならないから」
………あんな男?
彼女の口調があまりにも違い、別人過ぎて唖然としてしまった。
「えっ、結婚?それは仕方ないよ。こんな美味しい話、逃す方が馬鹿じゃない?」
一体、何の話をしてるんだ?
『結婚』って、誰が?……誰と??
両親と会う約束をした俺にとっては、
彼女との未来に『結婚』があるのだと信じているのだが、
彼女の口ぶりでは『結婚=美味しい話』……なのか?
俺は息を呑んだ。
『御影』という立場上、何度となく経験してきた。
俺に近づけば、地位や名誉を手に入れる事が出来、
必然的に金銭的にも優遇されるだろうと企む輩が……。
すっかり忘れていた感情が湧き起こる。
けれど、心のどこかで『俺』ではないと否定したくて……。
気配を殺して彼女の会話に耳を傾けた、その時!!
―――――俺は自分の耳を疑った。