オレ様専務を24時間 護衛する
「いつから………居た……の?」
女は信じられないといった表情で俺を見る。
「いつから居たの?じゃなくて、どうして来れたの?じゃないのか?」
「えっ?」
女はこれ以上無いほどに動揺し始めた。
俺は冷笑を浮かべ、女を見下ろす。
そんな俺の殺気を感じたのか、女は素早く電話を切った。
「そのヘアピン、お前のか?………違うよな、お前のモノの筈が無い」
俺は吐き捨てるように言葉を紡ぐ。
すると、完全に化けの皮が剥がれた女は、
「バレたんじゃしょうがないわね。こんなガラクタ、要らないわよッ!!アンタが大事に持ってればいいじゃないッ!!」
「ッ?!」
女は罵声を浴びせながら、ヘアピンを投げつけた。
「何?……まだ文句がある訳?」
「お前、最悪だな」
フンッと顔を背け、開き直った女。
この状況下でいい度胸じゃねぇか。
俺の胸に当たって床に落ちたヘアピンを眺め、
何かが吹っ切れた気がした。
「貴様の顔がブサイク過ぎて、キスする気にもならねぇっつーの!とっとと失せやがれッ!二度と俺様の前に現れるな!!」
「はぁっ?!ふざけんな!このゲス野郎!!」
悪態を吐いた女は出発ロビーへと姿を消した。