オレ様専務を24時間 護衛する
『喧嘩』で済まない程の詰り合い(なじりあい)
……何をどうしたらそうなるの?
呆れ果てて言葉も出ない。
周りを通り過ぎる人々がチラチラ見ている。
挙句の果てには、彼女は出発ロビーへと行ってしまった。
追わなくていいのだろうか?
魔王降臨というのに相応しいほどの表情の彼。
険しい顔つきは周りの人を寄せ付けない。
彼の周りだけ氷点下になっているみたいに、
雰囲気が、空気が、オーラが、
真面な人間は近づく事さえ許されない魔界の領域だと言っている。
けれど、この状況下で彼を放ってはおけない。
今にもパパラッチの餌食になりそうだもの。
私はすぐさま彼のもとへ駆け寄ろうとした、次の瞬間。
「おい、お前、希和だろ!」
「へっ?」
突然、目の前にスーツ姿の男が現れた。
しかも、私の事を知っている?!
今は男物のスーツを着こなし、化粧だってしていない。
どこから見たって『男』なのに……。
何故、私が私だと分かったのだろうか?
目の前の男の顔をよくよく見ると、