オレ様専務を24時間 護衛する
軽く食事を済ませ、1人でバイクを走らせる。
フルフェイスを被っているのに、
夜風がだいぶ冷たくなった気がした。
もうじき、コイツが冬眠する季節か。
繁華街のネオンを横目に走り抜ける。
やはり、コイツは俺は裏切らない。
気持ちいいほどに滑らかに進む。
ほど良い風圧とカラダに伝わるコイツの鼓動。
俺の心中を察しているみたいに振動してる。
あの害虫女は言ってたな。
『コイツに乗りたい』と。
まぁ、コイツにって事より、
俺が運転するバイクに乗りたいだけだろうけど、
俺はバイクの良さが分かる奴じゃなきゃ
後ろに乗せるつもりは無い。
だって、後ろに乗せたと同時に
背後から羽交い絞めに遭いそうだもんな。
爽快感のあるツーリングから戻ると、
既にリビングテーブルの上には酒のつまみが用意されていた。
『生ハムとズッキーニのフィンガーフード』
いつもながらに感心する。
俺が飲みたい酒に合う……つまみ。
何故、アイツは俺の心が読めるんだ?
本当に不思議でならない。