オレ様専務を24時間 護衛する
リビングでゆっくりグラスを傾ける。
ほど良く冷えたワインが身体に沁み込んでゆく。
松波が『女』だと判明してからというものの、
ツーリングも晩酌も昔みたいに1人でするようになった。
俺からは何も言ってないし、
奴からも何も聞かれてない。
何となく、暗黙の了解みたいな感じになっている。
本音を言うと、
飲み友達、ツーリング仲間が出来た感じで
奴と過ごす時間が楽しかったのは事実だ。
仕事だってヘマする事もなく、
今までの秘書や護衛役と比べたら歴然だ。
しかも、家政婦の役割まで1人でこなして……。
元々武術をしてただけあって、
一般的な女より体力はあるんだろうが、
それにしたって、やる事が完璧過ぎるんだよな。
毎日ほぼ24時間一緒にいて、
ボロが出た事が無いに等しい。
唯一、あるとすれば、
俺に『女』だと気付かれた事くらいだ。
何だかそう考えると、
『女』なのに、アイツって凄い奴なのかも。