オレ様専務を24時間 護衛する
リビングに戻ったものの、酒を飲む気が失せてしまった。
俺は仕方なく、皿とボトルをキッチンに運び冷蔵庫へ入れた。
ったく、何だよッ!!
せっかく、誘ってやろうとしたのに……。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、口に含む。
今日はトコトン酔って、
嫌な記憶を抹消しようと思っていただけに、
何とも気が抜けた感じになったな。
自室へ戻り、夜景をぼんやりと眺めた。
……さっきのアイツは何だったんだ?
何故、あんなにも号泣してたんだ?
俺に非があるのか?
……いや、何も思い当たらない。
じゃあ、何故……??
初めて見た、松波の号泣姿。
涙ぐむアイツを見た事はあっても、
あれ程までに涙を流すアイツを見たのは初めてだ。
女の涙なんて見飽きている。
嘘の涙で俺の気を惹こうと必死な害虫どもがわんさかいるから。
だけど、さっきのアイツは違った。
嘘の涙でなく、あれは………本当の涙だ。
涙を流すからにはそれなりの原因がある筈だが……。