オレ様専務を24時間 護衛する
16 重なる指先
京夜side
んっ、………もう朝か。
重い瞼を薄ら開けて、
窓から漏れて来る朝陽を確認すると、
前髪を掻き上げてゆっくりと上半身を起こした。
朝起きるのが、あんなにも怠くて面倒だった俺が
松波がこの家に来てからというもの
何故か、前ほど苦痛に感じなくなっていた。
恐らく栄養の整った食事と
毎日の晩酌を手加減するようになったからか。
すっかり奴のペースに流されてるな。
――――コンコンッ
「……はい」
「京夜様、朝食の準備が整いました」
「ん、今行く」
「はい」
ドア越しにかかる声。
その声は普段と何ら変わらない。
昨夜の様子を微塵も感じさせない声音だった。
………俺の考え過ぎか?
身支度を終えた俺はダイニングへ。
俺が席に着くのを見計らってスープを出す松波。
その仕草もいつも通りだ。
俺は気になり、ふと視線を上げた。
やはり、顔が浮腫んでいる。
瞼なんて、くっきり二重が見事に一重に。
やっぱり、俺の見間違いじゃなかったんだ。
俺の相向かいに座った松波は、