オレ様専務を24時間 護衛する
忘れようと決意した筈なのに、
頭が、心が、そうはさせてくれないらしい。
仕事をしなきゃならないのに集中出来そうに無い。
それくらい、今の俺は腑抜け状態だ。
目の前のパソコン画面をじっと見据え、
限りなくゼロに近い可能性を思いついた。
他に手は無い。
ダメもとでするまでだ。
「あの、すみません。昨日、エントランスプラザで落し物をした者なのですが……」
俺はターミナル インフォメーションへ電話を掛けた。
けれど、俺の探し求めている物は届け出が無いと言う。
恐らく、古びた玩具のような物だし、
落ちた際に壊れてしまったのかもしれない。
誰かに拾われたかもしれないが、
きっとゴミだと思われ、捨てられたに違いない。
機内ならともかく、
エントランス内でのゴミはきっと確認される事もない。
電話を切った俺は、更に打ちのめされた気がした。
後悔した所でもう遅い。
きっと、俺とあの子との縁もこれまでなんだ。
俺は自分自身にそう何度も言い聞かせた。