オレ様専務を24時間 護衛する
「悪いが、その話は二度とするな」
「え?」
「人には触れてはいけない領域ってもんがあるだろ」
「あっ………はい。でも……」
「しつこい!」
「ッ?!」
ちょっと!!
何でそうなるのーッ!?
言い返せない自分が恨めしい。
『触れてはいけない領域』??
そりゃあ、誰にだってあるでしょうよ。
私にだって触れて欲しくない領域はあるよ。
でも、まだ何にも話して無いのに?
言ったのは『空港で』だけだよ?
あっ!!
もしかして、彼女の事を聞かれると思ったのかしら?
……ううん、そうに違いない。
いや、彼女も関係あるんだけど……。
あぁぁぁ~~、
もう、なんで最悪な方向に進んじゃうの?
目の前の御方から物凄い視線が突き刺さる。
『話を蒸し返すな』
『昨日の事は忘れろ』
『俺には何も聞くな』
そんな言葉がアイコンタクトに秘められている。
それって、私には質問する権利さえ無いって事?
理不尽な彼に憤りを感じながらも、
結局、それ以上アクションを起こす勇気が出なかった。