オレ様専務を24時間 護衛する
松波は丁寧な手つきで下肢部分から解し始めた。
会員制のサロンで似たようなものはした事があるが、
松波の施術はそれらとは一味違った。
サロンでは常にBGMとして音楽が流れているが、
当然、俺の部屋ではそれは無い。
流そうと思えば流せない事ないが、
そんなものに頼らなくても十分過ぎる施術だ。
あまりに気持ち良くて思わず目を瞑ると、
「痛みはございませんか?」
「………大丈夫だ」
「……そうですか。それは安心致しました」
松波は俺の顔色を窺いながら、
とてもリズミカルに手先を動かす。
「これは軽擦法(けいさつほう)といい、筋に作用します。血行を良くするので新陳代謝が上がります」
「………」
「そして、これは揉捏法(じゅうねつほう)、筋の収縮力を活発にするので疲労回復に効果的です」
「……へぇ」
松波は俺の下肢を揉み解すように、
掴んだり抓んだり押したりしている。
「次は叩打法(こうだほう)、筋肉の……――……」
トントンとリズミカルに軽く叩かれ、
あまりの気持ち良さに俺は心地良い世界に吸い込まれて行った。