オレ様専務を24時間 護衛する
何末に向け、ますます仕事が忙しくなる中、
柄にもなく、労う気持ちで声を掛けた。
「おい、松波」
「はい」
11月上旬のある土曜日の夕食後。
松波はキッチンで後片付けをしていた。
リビングにいる俺のもとに来た松波は、
俺の目線に合わせて膝を着く。
こういう何気ない仕草が何とも言えない。
立ったまま用件を聞く事だって出来るのに
コイツは必ず目線を合わせ、自ら屈む姿勢を取るんだ。
ソファに座る俺に対し、少し目線が下になった松波は
「はい、何でしょう?」
あまりにも従順すぎて気持ち悪い。
コイツの本音が見えないだけに、
俺としても距離を取りたくなる。
「休みが欲しいか?」
「へ?」
「お前、働き尽くめで嫌にならないのか?」
「えっ………それは………」
「お前からは言い辛いだろうから、俺から言ってやる。明日は好きに使え」
「ッ?!………その、本当に宜しいのですか?」
「あぁ。これから年を越すまで忙しくなるからな」
「あっ、有難うございますっ!!」
松波は満面の笑みを浮かべた。