オレ様専務を24時間 護衛する
松波は俺から顔を背け、視線を泳がせた。
俺はそんな奴をじっと見据える。
あの時、確かにあの女は要らないと言った。
普通に考えてみれば松波の言う通りなのかもしれない。
だが、何故、コイツは俺にすぐ渡さなかったんだ?
そもそも、今松波が握りしめているヘアピンは
ガラクタと思われても仕方ない程、古びている。
俺があの場で拾い上げない=要らない物だと、
普通ならば、そう解釈すると思うのだが……。
俺の了解なく勝手に拾って来た事に対しての罪悪感?
それとも、まさかとは思うが、あの女への嫉妬心か?
……いや、それは無い。
コイツからそれらしい雰囲気を感じた事は1度も無い。
じゃあ、一体、何だって言うんだ?
俺はますます混乱していた。
松波は自分の手元をじっと見つめ、何やら思い詰めている様子。
そんな奴に痺れを切らした俺は、
「いい加減話さないと、マジでキレるぞ」
松波を威嚇するように急き立てた。
普段の俺ならここまで執着しない。
だが、今回はどうしても譲れないんだ。
………あの子のヘアピンだから。
俺は時間切れとでも言うように溜息を吐く。
すると、