オレ様専務を24時間 護衛する


俺を心配そうに見つめる松波。

この、目の前にいるのが本当にあの子なのか?


15年以上もの月日が経てば、

多少なりとも面影が無い事くらい理解できるが、

今の松波からはあの子の面影が微塵もない。


本当に本人なのか、疑わしい。


「あの、もしかして……まだ……?」


俺の疑いの眼差しを察してか、松波は深い溜息を吐いた。


「悪い。松波の言い分も解るが、どうしても信じられなくて……」

「………そうですよね。髪だって短いし、背だってこんなにも伸びちゃったし。それに……」

「………ん?」


松波は自分の両腕を眺め、顔を歪めた。


「あの頃の面影すらないほどに逞しくなりましたから……」

「ッ?!」


確かに松波の言う通り、

あの子を連想させる可愛らしさは窺えない。


かと言って、松波を逞しいとか、そんな事……。


「べ、別に……そういう意味で言った訳じゃ……」

「平気です。もう慣れっこですから……」


松波は苦痛を滲ませた笑顔を無理やり作り、

その瞳は悲しそうに潤んでいた。



「あ、そうだ!……ちょっと待ってて下さいね」

「ん?」


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