オレ様専務を24時間 護衛する
そんな風に優しく見つめられると、
本当にどうしていいのか解らない。
今まで散々見て来た筈なのに、
やはり、真実を知ってしまった後では同じにはいかない。
彼女の視線に動揺を隠せず、
俺は堪らず視線を逸らすと………。
「私がお切りしても宜しいですか?」
「………あぁ、頼む」
どうして、俺はこんな風にぶっきら棒にしか言えないんだ。
もっと優しい言葉を掛けるべきだろ。
昨日の今日で混乱しっぱなしの頭を必死で働かせ、
自分が出来そうな事を探してみる。
彼女が切り分けたケーキを受取ろうと皿を差し出すと、
「ありがとうございます」
「………」
彼女は笑顔で皿を受取った。
けれど、やはり……彼女は俺に対して敬語のままだ。
仕方ないと解っていても、胸の奥は痛むものなんだな。
俺の分のケーキを乗せた皿が目の前に置かれた、
―――――その時!!