オレ様専務を24時間 護衛する
私は物心つく頃から父親に武術を仕込まれ、
仲のいい友達が公園で遊んでいる時間も
独り自宅で稽古に明け暮れていた。
だって、稽古をサボると
いつだって父親にバレてしまったんだもん。
『頑固一徹』この言葉が一番相応しい父親。
私の意思なんてお構いなしに
母の言葉でさえ聞き流していた父親。
稽古の厳しさは半端なかった。
けれど、稽古自体は嫌いじゃなかった。
と言うより、一徹な性格は父親譲りみたいで
途中で放棄するという事が出来なかったんだと思う。
誰かと闘う、相手を打ち負かす、頂点に君臨する。
……そんな事はどうでも良かった。
ただ、父親に………
『よく頑張ったな』と言われたくて。
気付けば、『格闘女』だとか『チャンピオン』だとか
小馬鹿にするようなあだ名ばかり付けられ、
周りにいた仲のいい友達も少しずつ離れていった。
そんな中で唯一、私から離れて行かなかったのが……朱夏。
彼女は見た目だけでなく心も綺麗な、私の憧れの女性。