オレ様専務を24時間 護衛する
「ねぇ、お母さん」
「ん?」
「私が中学生の時も高校生の時も、確か大学生になってからも、時々『テラス王子に会いたい?』って、私に聞いたよね?………あれって、どういう意味だったの?」
当時はそれほど難しく考えていなかった。
稽古や試合で怪我を負うと、
暫く療養を兼ねて稽古から離れる時があった。
そんな時に必ずと言っていいほど、
母親は私に『テラス王子』の話をした。
稽古に追われ、つい忘れがちになっちゃうんだけど
時折、思い出すみたいに昔話をしたっけ。
………ホント、懐かしい。
「だって、怪我をすると必ずと言っていいほど、希和は落ち込んでたじゃない。『傷がまた増えた。やっぱり、私じゃお姫様になれなくて当たり前だよね』って」
「………そんな事、言ったっけ?」
「言ったわよ」
……全然、記憶に無いよ。
怪我してブルーになって、変な事でも口走ってたんだろうな。
じゃないと、正気を保てなかった気がする。
「希和は、今でも………」
「…………ん?」