オレ様専務を24時間 護衛する
優しく微笑む母親が私の隣りに座って、
「希和は京夜さんの事、どう思ってるの?」
「どうって?………スーパーセレブ?」
「そうじゃなくて、人柄は?」
「人柄?………仕事は鬼のようにこなすし、取引先の人にも人あたりはいいよ……女性意外でだけど」
「他は?」
「………そうね。物は大事に使うし、意外と優しかったりする」
「フフフッ………そう」
有無を言わせぬ眼光は怖いけど、
カクテルを作ってくれたり、
家事をしている時に急かされた事は一度も無い。
うちの父親はせっかちだから、
いつだって母親に『まだか?まだか??』って急かしてる。
慌てて作る料理ほど自信のない物になるから、
その点においては安堵できる所かな。
「ねぇ、希和」
「ん?」
「京夜さんは希和の存在を知ったんだから、今までとは違うと思うんだけど」
「へ?」
「希和が『女性』だって知ったとしても、それはあくまで女性使用人って事でしょ?だけど、希和が昔、京夜さんのお屋敷に呼ばれてた女の子だって知った訳だから、少しは態度が変わるんじゃないかしら?」
「………それはどうだろう?………そんな風には思えないけど……」
彼の態度が変わる?
そんな事、考えもしなかった。