オレ様専務を24時間 護衛する


母親は私の手のひらからヘアピンを手に取り、


「これ、何でこんな色なの?………何か、塗ってあるわね」

「……そうなの。大倉さんという女性がこれを持ってたんだけど、京夜様が見た時は既にこの色だったらしいの」


母親は何度も首を傾げ、考え込む仕草を見せる。


私の知らない……何か。

それが一体何なのか分からないけど、

きっと、彼女がなりすました理由があるに違いない。



私は母親の口が開かれるのをただじっと黙って待っていた。


すると、


「これは、お母さんの憶測にしか過ぎないんだけど……」

「え?」

「その大倉さんって、外務省にお勤めの方のご令嬢?」

「あっ、そう!……何で、知ってるの?」

「知ってるって程じゃないけど、当時御影さんのお宅に、希和と同じように招待されていた筈よ」

「えっ?」

「その当時、お父さん(希和の父)が外務大臣のSPをしていたからよく覚えてるわ」

「えぇっ~~ッ?!」



私は思わず発狂してしまった。


現在、父親は官房長官のSPをしている。

恐らく、当時母親も招待されていたから、覚えていたのだろう。


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