オレ様専務を24時間 護衛する


えっ?………ちょっと待って。


あの当時に既にお相手が決まってたのなら、

それって『許婚』って事だよね?

なのに、未だに世間では騒がれていないのは何故?


あっ、でも………

もしかして、京夜様の想い人がその人なの?

だから、その人以外、誰も近づけないようにしてるとか?

って事は、京夜様はそのお相手を知ってるって事?


再び、謎の渦に呑み込まれ

勝手に妄想を繰り広げながら自問自答していると、



「京夜さんの妻になる人はね」

「………ん?」

「幼い頃から『御影の妻』であり『御影の嫁』としての素養を、日々磨いて暮らして来たの」

「えっ?………幼い頃から?」

「……そうよ。長い年月をかけて少しずつ身に着け、彼の隣りに立っても見劣りしない女性になる為に……」

「………何だか、ちょっと可哀想ね」

「可哀想?………どうして、そう思うの?」

「自分から望んだのでなければ、多感な時期を謳歌出来なかった気がするの」

「…………そうね。希和はどうだった?………多感な時期を稽古に明け暮れて……」

「う~ん。正直、もう少し羽を伸ばしたかったかな?」

「少しで……いいの?」

「うん、稽古は辛かったけど、別に嫌いじゃ無かったし。むしろ、今は感謝してる」

「へ?」

「理由はどうであれ、身に着けた技術を活かせる仕事に就けてるから」


< 552 / 673 >

この作品をシェア

pagetop