オレ様専務を24時間 護衛する
えっ?………ちょっと待って。
あの当時に既にお相手が決まってたのなら、
それって『許婚』って事だよね?
なのに、未だに世間では騒がれていないのは何故?
あっ、でも………
もしかして、京夜様の想い人がその人なの?
だから、その人以外、誰も近づけないようにしてるとか?
って事は、京夜様はそのお相手を知ってるって事?
再び、謎の渦に呑み込まれ
勝手に妄想を繰り広げながら自問自答していると、
「京夜さんの妻になる人はね」
「………ん?」
「幼い頃から『御影の妻』であり『御影の嫁』としての素養を、日々磨いて暮らして来たの」
「えっ?………幼い頃から?」
「……そうよ。長い年月をかけて少しずつ身に着け、彼の隣りに立っても見劣りしない女性になる為に……」
「………何だか、ちょっと可哀想ね」
「可哀想?………どうして、そう思うの?」
「自分から望んだのでなければ、多感な時期を謳歌出来なかった気がするの」
「…………そうね。希和はどうだった?………多感な時期を稽古に明け暮れて……」
「う~ん。正直、もう少し羽を伸ばしたかったかな?」
「少しで……いいの?」
「うん、稽古は辛かったけど、別に嫌いじゃ無かったし。むしろ、今は感謝してる」
「へ?」
「理由はどうであれ、身に着けた技術を活かせる仕事に就けてるから」