オレ様専務を24時間 護衛する
「希和がそう思うのなら、仕方ないわね」
そう口にした母親は、どこか安堵しているようにも見える。
「さっきね、お茶の準備をしてる時に、御影さんからメールが届いたの」
「………何て?」
「京夜さんが希和の存在を知った上で、これまでの経緯を話したそうよ」
「それって、………今、私が聞いたのと同じ事を?」
「………恐らくね」
京夜様も事実を知ってしまったんだ。
もし、まだバレて無いのなら、
こっそりと断って貰おうとしたのに……。
知ってしまったからには、こちらからは断り辛いよね。
何たって、向こうは世界の『御影』だもの。
こんなどこにでもいるような庶民の小娘から
縁談話を断られたなんて世間に知れ渡ったら
それこそ、マスコミのいい餌だもんね。
きっと、京夜様なら断るに違いない。
こんなオトコオンナを受け入れる筈ないし。
私を『女』として見れない以上、
こんな話はあって無いようなものだ。
隠された秘密を知った私は、
動揺はするものの、何故か肩の力が抜けてしまった。
だって、こんなありえない話、
トントン拍子に進む筈が無いもの。
他人事のように考え、開き直る私がいた。