オレ様専務を24時間 護衛する
18 30センチの距離

京夜side



あくる日の早朝。


結局、あれこれと考えていたら、夜が明けてしまった。


――――俺が彼女の為に出来る事は何か。



俺は軽く身支度を整え、静かに自室を後にし、

一通りの物を抱え、地下駐車場へと向かった。



愛車のドアを開けた俺は、

車内を隅々までチェックをする。


初めて乗せる訳ではないが、今日は特別な日。

汚れ1つ無いように細心の注意を心掛ける。



すると、今まで味わった事のない感情が込み上げて来た。

ワクワク? ドキドキ? ソワソワ??

ハッキリとは解らないそれらを愉しむかのように

俺は丁寧に愛車を磨き上げた。



変な匂いはしてないか?

乗り心地はどうだろうか?

出先で急に寒くなったら?

タイヤは大丈夫だろうか?

ガソリンは? オイルは??


俺はブツブツと独り言を発しながら

彼女が不快に感じぬように出来る限りの事を施した。


腕時計に視線を向けると、7時15分。

そろそろ戻らないと心配するよな。



俺は愛車のボディーに触れ、頬を綻ばす。


「今日は大事な女性(ひと)を乗せるから、よろしく頼むな」



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