オレ様専務を24時間 護衛する
玄関ドアを開けると、
「京夜様!こんな朝早くからどこへ行かれてたのですか?!」
「ッ?!」
俺の姿を確認した彼女は、
心配の色を浮かべながら早口で尋ねて来た。
「………おはよう」
「へ?」
「朝食が済んだら出掛けようと思って、車の状態を確認して来た」
「えっ?」
俺が自然と挨拶を口にし、
更には出掛ける為に自ら準備を施した事に驚いている。
駐車場へ行った事を誤魔化そうとも思ったが、
俺は彼女に対して『ありのままの自分を曝け出そう』そう決めていた。
「いい匂いだな。手を洗って来るから、朝食にしよう」
呆然としている彼女の背中を軽く叩き、
「おい、どうした?……気分でも悪いのか?」
「え?あっ、いえ、何でもありません。直ぐにご用意致します」
軽く会釈した彼女はキッチンへと駆けて行った。
「会話するのも難しいもんだな」
彼女の後ろ姿を眺め、呟くように弱音が零れ出した。