オレ様専務を24時間 護衛する
毎々バランスの取れた食事がテーブルに並ぶ。
この料理1品1品が全て俺の為かと思うと、
味わって食べないと申し訳ないよな。
「戴きます」
「ッ?!……ごゆっくり、お召し上がりください」
俺の顔色を窺うように相向かいに腰を下ろす彼女。
いつもの定位置なのに、何故か緊張する。
俺の存在なんて気にもならないだろうが、
俺は彼女が目の前で食事をしている事自体に感動していた。
会話すら真面に出来なかった……存在だから。
ゆっくりと味わいながら口へ運び、
長い長い年月の努力を少しでも理解しようと
俺は彼女の手料理を感慨深く戴いた。
食後の珈琲を淹れる為、
彼女がキッチンへと席を立った隙に
俺は静かに自室へと向かった。
ウォークインクローゼットの入口にある大きな包み。
昨日、実家を出る際に母親に持たされた彼女への品物。
『希和さんへ、私からのプレゼントだから』
母親も俺と同じで、何かしら彼女にしてあげたかったのだろう。
それを手にして彼女のもとへ戻る。