オレ様専務を24時間 護衛する


グラついた体勢を整えようと彼が私の肩を掴んだ。


「……痛むか?」

「へ?」

「肩………痛くないか?」

「え?………はい、何とも無いですけど……」

「………そうか」


大して力が入っていた訳じゃない。

鷲掴みされたとしても、私の身体はそんなに軟じゃないし。


こんな風に突然『女性』扱いされると、ホント調子狂う。

今まで見たいに『男』だと思われていた方が落ち着くって、

私、やっぱり……女には向いてないのかも。


溜息混じりに部屋へと再び歩き出すと、


「えっ、ちょっ?!」


ななな、なっ、何?

一体、何が起きてるの?!


長い腕が急に伸びて来たかと思ったら、

身体を反転させた彼が抱きついて来た。


酔ってるとは言え、彼は男性。

腕のリーチも身長差も歴然で。


男性に抱きしめられる事なんて、

柔道の寝技か、レスリングの押さえ込みか、

そんな状況以外での経験があまりに少な過ぎる私にとって

今のこの状況が何を示しているのか全く分からない。


しかも、彼はかなり酔っている訳だから………。


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