オレ様専務を24時間 護衛する


ふと甦る昨夜の出来事。


彼の力強い長い腕、

蕩けるような甘い声音、

そして、真っ直ぐ見つめる優しい瞳。


無意識に走馬灯のように思い浮んで、

何か、身体の奥から湧き上がる感情が見え隠れする。

得体の知れないその感情が怖くなり、

私はキッチンへと走り出した。



危険、キケン、きけん!!

あんな絵に描いたような美男子に

あんなにも甘い顔をされたらイチコロじゃない!


ダメダメダメダメッ!!

彼は護衛対象者であって、それ以外の何者でもない。


私は自分に言い聞かせるように心を鎮めた。





朝食が摂り終ると日課のように珈琲を淹れにキッチンへと向かう。

彼は淹れたての珈琲が好きなのだ。


私はネルフィルターに珈琲を入れ、ゆっくりとお湯を注ぐ。

じっくりと淹れるコクのある珈琲。

それが彼の好みの珈琲だから。



それをトレイに乗せリビングへ行くと、

私もソファへ腰を下ろすように促した。


そして、彼の言われるままに腰を下ろすと、

抱えきれないほどの大きな包みを手渡された。


< 571 / 673 >

この作品をシェア

pagetop