オレ様専務を24時間 護衛する
ふと甦る昨夜の出来事。
彼の力強い長い腕、
蕩けるような甘い声音、
そして、真っ直ぐ見つめる優しい瞳。
無意識に走馬灯のように思い浮んで、
何か、身体の奥から湧き上がる感情が見え隠れする。
得体の知れないその感情が怖くなり、
私はキッチンへと走り出した。
危険、キケン、きけん!!
あんな絵に描いたような美男子に
あんなにも甘い顔をされたらイチコロじゃない!
ダメダメダメダメッ!!
彼は護衛対象者であって、それ以外の何者でもない。
私は自分に言い聞かせるように心を鎮めた。
朝食が摂り終ると日課のように珈琲を淹れにキッチンへと向かう。
彼は淹れたての珈琲が好きなのだ。
私はネルフィルターに珈琲を入れ、ゆっくりとお湯を注ぐ。
じっくりと淹れるコクのある珈琲。
それが彼の好みの珈琲だから。
それをトレイに乗せリビングへ行くと、
私もソファへ腰を下ろすように促した。
そして、彼の言われるままに腰を下ろすと、
抱えきれないほどの大きな包みを手渡された。