オレ様専務を24時間 護衛する


無意識に服を包みに戻そうとすると、

中に白い封筒が挟まっていた。



お母様の直筆で

これまでの事を謝罪する言葉が綴られていた。



そして、最後に……。


『これからは、貴女らしく生きて下さい』


そう書かれていた。



それを目にして、思わず涙腺が緩む。


別に物凄く我慢してた訳じゃない。

少しばかり我慢してただけ。


だけど、心の奥の扉をゆっくり開けてもいいのかな?

そんな気になってしまう。



彼も少しずつ変わるように

私も少しずつ変わってもいいのかな?


私は今一度服を胸に当て、鏡の中の自分をみつめた。


………今日くらいいいよね?



せっかく頂いた物だし、

あの京夜様が誘って下さったのだから

今日くらいは『女の子』になろう……そう思った。




それからは、時計と睨めっこしながら

慣れない手つきで身支度を始めた。


短い髪だけど、少しでも『女』を意識して左側だけ編み込みをした。


< 573 / 673 >

この作品をシェア

pagetop