オレ様専務を24時間 護衛する
京夜side
地下駐車場から地上へ出ると、
秋晴れという言葉が相応しいほど、晴れ渡っていた。
俺は助手席にいる彼女を意識しながら、
いつもより安全運転を心掛ける。
彼女がいつも俺を乗せ、そうしているように。
時折、顔色を窺いながら無言で車を走らせた。
信号待ちで停車中に彼女に視線を向けると、
「あっ……」
「…………?……どうかしましたか?」
エンジン音で微かに聞こえる程度だが、
彼女が俺の声を聞き拾い、尋ね返す。
俺は信号がまだ青になりそうに無いのを確認して、
無意識にそっと手を伸ばした。
「……自分でしたのか?」
「へ?………あっ、はい。可笑しいですか?」
「いや、……似合ってる」
「あっ、ありがとう……ございます/////」
彼女の左耳の少し上の髪が器用に編まれていた。
こんな近くにいて、しかも何度も見ているのに……。
何故、気付かなかったのだろう?
女性を褒める経験も
女性のちょっとした変化に気付く事すら俺には皆無だ。
ほんのりと頬を赤らめる彼女。
俺の言葉の1つで反応してくれる事に胸が熱くなった。