オレ様専務を24時間 護衛する
俺が彼女の顔を覗き込んでいると、
「お兄ちゃんさぁ、夫婦なら1つの物を食べ合ってこそ、情が湧くってもんだよ?」
「へ?」
のぶさんがいきなり俺に説教し始めた。
俺は唖然としていると、
「何の話をしてんだい?」
俺の隣りにいる瀧さんが、代わりに聞き返した。
「いや、だってね?この後にまだ色々採りに行くだろうにさ、鍋を別々に分けるって言うんだよ」
「それ、ホントかい?」
「あっ、…………はい」
苦笑しながら頷く彼女。
俺は話がイマイチ理解出来ないでいる。
「あの、鍋が別々だと何か問題でも?」
俺の質問に顔を顰めるのぶさんと瀧さん。
「あんた、坊ちゃん育ちだね?」
「へ?」
「物を粗末にしちゃダメだよ」
「………」
全く意味不明な言葉に首を傾げると、
すかさず彼女が小声で説明し始めた。
「お2人は、昼食後に他の物を採りに行く事を心配して下さって、鍋を2人で分け合ったらどうかとおっしゃってます。ですが、京夜様は別々が宜しいですよね?」
………なるほどな。
腹八分目という先を考えての事と、
俺が、他人が箸を付けた物を口にしないという事を
きっと、彼女なりに気遣っての事が原因らしい。
だから、俺は………。