オレ様専務を24時間 護衛する
「1つでお願いします」
「えっ、でも、京夜様!」
「俺の事は気にするな」
俺の言葉に不安を抱えた彼女は咄嗟に俺の腕を掴んだ。
俺はそんな彼女の手を包み込むように優しく触れる。
『気にしなくていいから』そう伝えたくて。
「そうこなくっちゃ!」
「それでこそ、男だ」
「ハハッ、そりゃ、どうも……」
2人に後押しされ、
俺はまた1つ、自分の殻を打ち破る。
『他人』が箸を付けた物。
確かにそう考えれば拒絶反応が起きてもおかしくない。
現に、あのクソ女が箸を付けた物は食べたくないと思ったのだから。
けれど、不思議なものだ。
1つの鍋を彼女と分け合う事に抵抗は無い。
……他人と思えないからだろうか?
彼女の説明によると、
のぶさんという女性は煮込み担当で
瀧さんという女性はきのことうどんの担当だそうだ。
彼女は炭火で焼いた椎茸を口へ運ぶと、
「おいひぃ~!!」
満面の笑みを浮かべて喜んだ。
「そりゃあ、良かったな」
俺もつい頬が緩んで、笑顔になる。