オレ様専務を24時間 護衛する
希和side
今日は朝から夢のような出来事の連続で
本当にこれは夢なんじゃないかと何度も頬を抓った。
素敵過ぎる洋服、優し過ぎる京夜様、
そして、極めつけは念願の味覚狩り!!
しかも、一度に3種類も!!!
もう、今日死んでも悔いはない。
……そう思えるくらい幸せだった。
帰りの車内で、ほんの少しだけ違和感を覚えた。
京夜様から笑顔が少なくなっている気がする。
もしかして、疲れたのかしら?
そりゃあ、そうだよね。
私と違って、体力だって一般人レベルだもの。
斜面を行ったり来たりするのだって、
慣れない人にとっては一苦労なのに、
私は採る事に夢中になって、彼に荷物持ちをさせていた。
すっかり辺りは暗くなり、
車内もオーディオの微かな灯りと
対向車のヘッドライトが当たらない限り、
彼の表情を汲み取るのは難しい。
「あ、あの………京夜様?」
「ん?!………どうした?」
言葉だけではエンジン音に掻き消されると思って、
私は彼の右腕をそっと掴んだ。
信号待ちまで止まった車内。
ちょっとした緊張感が走った。