オレ様専務を24時間 護衛する
「家と車の鍵を今持ってるか?」
「え?……あっ、はい、持ってます」
京夜様はスッと右手を出した。
私は鞄の中から鍵を取り出し、彼の掌にそれを乗せた。
すると、もう片方の手に握られている紙手提げを差し出し、
「これは俺の気持ちだ」
「はい?」
「今まで、俺の我が儘に付き合わせてしまった事への謝罪の気持ちと、こんな俺に文句1つ言わず、尽くしてくれた事への感謝の気持ちだ」
「………」
「頼む、受け取ってくれ」
「で、でも……」
「俺の気持ちが受け取れないか?」
「あっ、いや、そういうのではなくて……。お気遣い頂き申し訳ないです」
思わず、両手を後ろ手に隠し小首を振ると、
「男が一度出した物を引込めれると思うか?」
彼の瞳は至極真剣だ。
これ以上、困らせるのも……。
動揺する脳を整理して、彼の気持ちを酌む事にした。
「では………」
私は仕方なくそれを受取ると、安堵したようで笑みを零した。
そんな彼に対して、深々とお辞儀をする。
そして、ゆっくりと頭を上げると―――――。