オレ様専務を24時間 護衛する
「今………何て、おっしゃいました?」
思わず、真顔で聞き返すと
「チッ、お前はバカか」
「へ?」
「俺はさっき、一度しか言わないからと言っただろ」
「ッ?!」
「同じ事を何度も言わせんな」
漸く、素の彼を知ったばかりだというのに
今、目の前にいるのは……まさしく『魔王』な彼。
罵声を浴びせるように言葉を吐き捨て、
威圧感のある鋭い眼光と
身体から溢れんばかりの殺気に満ちた………。
彼は言った。
特殊任務は終了だと。
それは、私が彼のもとを離れる事を意味している。
けれど、それは………――――………。
「あ、あの……」
「ん?………何だ。異議申し立ては受け付けられんぞ」
「いえ、異議申し立てではございませんが、気になる事がございまして……」
「何だ、言ってみろ」
やはり、彼の視線は終始……鋭い。
日中の穏やかな表情など微塵も窺えないほどに。
私は意を決して、本心を口にする。