オレ様専務を24時間 護衛する
エプロンやハンドケアセットだけならともかく、
ワインとこの小箱は別格のような気がする。
幾ら、彼が御曹司でお金に困らないとしても
貰う側の私は一般庶民なのだから。
今さらながらに開けてしまった事を後悔した。
けれど、あの状況下でつき返す勇気は私には無かった。
はあぁぁぁ………。
溜息を零したところで何も変わらない。
暫く見つめていた私は意を決して、
手にしている小箱を開ける事にした。
ゆっくりと息を吸い込んで蓋を開けると
中には蝶がモチーフにあしらわれたヘアピンが入っていた。
蝶の羽部分にキラキラ光る石のようなモノが。
………これって、宝石?
ま、まさか………ね。
慎重に台座から外し、目を凝らして見てみるが
宝石に疎い私はそれが本物の宝石なのか、
ガラスの石なのかさえ区別がつかない。
けれど、箱といい、包装紙といい、
彼がくれたという事実といい、
見るからに高価そうで思わず指先が震え出す。
デザインは私好みで凄く気に入ったけど、
こんな高価な物を身につける身分じゃない。
私は慎重に箱の中にそれを戻した。