オレ様専務を24時間 護衛する
何、これ………。
大画面のテレビでワイドショーを放映していた。
その番組のコメンテーターが京夜様の話題を取り上げていた。
『あの御影の御曹司が、ついに結婚に踏み切りましたねぇ』
………どういう事?
私が任務から外れたから、
お母様がおっしゃってたように
どこかのご令嬢と結婚する事にしたの?
お相手の名前は公表されなかったが、
放送の内容があながち嘘では無いように思える。
その番組では、『来春結婚』と予想していた。
どこから情報が漏れたのか解らないが、
あれ程の財閥の御曹司が噂1つ立てずに生活するのは不可能に近い。
一緒に生活していた時はそれほど気にしなかったが、
こんな風にテレビを通して耳にすると、
やはり、彼は手の届かない世界の人なのだという事を改めて実感した。
瞬きも忘れ、その番組をボーっと眺めていると、
「希和」
「…………ん?」
「そろそろ、帰ろうか」
「…………そうだね」
いつの間にか隣りに来ていた母親が
―――――そっと私の肩を抱いた。