オレ様専務を24時間 護衛する
20 恋慕
京夜side
天宮凪彩からの返事を翌日に控え、
年末年始商戦の仕事の追われていた。
クリスマス、大晦日、新年
次から次へとイベントが目白押しで
同時進行に企画の最終調整が行われている。
御影グループは百貨店だけでなく、
他業種を扱っている為、報告を受けるだけでも一仕事だ。
最近では昼食を外に取りに行く事も無くなり、
近くの店から出前を取って済ませている。
どうせ1人で食べるんだ。
味なんて大して変わらない。
ならば、移動時間も仕事に費やした方が何倍も効率的だ。
俺は仕事に憑りつかれたように没頭していた。
ふと、キリの良い所になると自然とドアに視線が行く。
無意識に『松波』と声を出してしまいそうになるんだ。
彼女が淹れてくれた珈琲が無性に飲みたくなる。
彼女は俺好みの酸味の少ない珈琲を淹れてくれていた。
そんな些細な事なのに、
それすらも俺の心に傷を刻む材料になっていた。
忘れろ。
忘れるんだ。
それぞれに、もう違う道を歩み始めたんだ。
今更、後悔したってどうにもならないんだから。