オレ様専務を24時間 護衛する
街ですれ違うスーツ姿の男性を見ると目を奪われ、
大型バイクに跨る男性を見かければ彼に見えてしまう程、
私は恋の末期症状に陥っていた。
「先輩……」
「ん?」
暫く涙を流した私は我に返り、
目の前に座る先輩の顔をじっと見据えた。
「失恋を癒す方法って何が1番良いですか?」
「ん?…………失恋?お前、婚約者に捨てられたのか?」
「………うっ……」
「あ、ごめんっ」
………捨てられた。
そうなのかもしれない。
彼の人生にとって、私はきっと邪魔にしかならない。
そんな当然の事を思い知らされ、再び胸が苦しくなった。
私の様子が徒ならぬ感じだと察したみたいで、
女将さんがパーテーションのような衝立を置いてくれた。
すると、
「何で別れたんだ?」
「………」
「喧嘩でもしたのか?」
「………」
「ちゃんと、気持ちを伝えたのか?別れたくないって……」
「ッ?!」