オレ様専務を24時間 護衛する


大丈夫。

緊張して、カミカミになっても

ちゃんと彼に伝わるまで、何度でも言おう。


彼が冷視線を浴びせたとしても

罵声を浴びせたとしても、もう決して動じない。


本当の彼は優しい人だもん。

強がるのは本心を隠す為のカモフラージュ。


私だって、いい子ぶって

いつでも出来る子を演じて来たけど

私にだって足掻きたい時だってあるんだから。




エレベーターは停止し、最上階に到着した。


深呼吸して降り立つと、

2週間前と全く同じ景色に思わずホッとした。



スーツケースをゆっくり転がし、

玄関ドアの前までやって来た。



これ以上無いほどにドクドクと早鐘を打つ鼓動。

ギュッと胸元を握りしめ、

気休めに心を落ち着かせようと試みる。


そして、何度も深呼吸して

ドアロックを解除するパスワードを入力した。



けれど、

ピピピピッ………


「えっ?………何で?」


ちゃんと入力した筈なのに、解除音がしない。

今のはエラー音??


何度も何度も確かめてみるが、

ドアが解除される事は無かった。


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