オレ様専務を24時間 護衛する
京夜side
彼女の家から自宅へと車を走らせていて、
ふと視界に入った黄色い点滅。
給油ゲージがゼロを指していた。
今まで、彼女にさせていたからすっかり忘れていた。
俺は帰宅途中にガソリンスタンドへ寄った。
車の整備や管理は使用人に任せていたが、
これからは自分がするとなると少し面倒だな。
だが、それでも雇う気にはなれない。
俺はダッシュボードを開け、
整備帳を確認しようとした、その時。
中に可愛らしいメモ帳が入っていた。
俺はそれを手に取り、パラパラと捲る。
すると、
「なっ?!……………おい、マジかよ」
思わず、声が漏れ出すほどの内容だった。
その可愛らしいメモ帳には
仕事で行き来する都内の道路の整備状況(道路の起伏など)が
イラスト付きで事細かく記されていた。
そのイラストの横には小さな文字で
『段差10センチ、車体揺れ大、要時速40キロ以下』
これは彼女が運転する為のテクニックデータ。
俺に気を遣い、ここまでしていただなんて……。
ガソリンスタンドのスタッフに涙を見せたくなくて
無愛想に車を発進させた。
本当に、俺はどうしたらいいんだ。