オレ様専務を24時間 護衛する
希和side
寒さで足が悴んでいるのか、
痺れているのか分からないほど
足先の感覚が曖昧になって来た。
少し離れた所にあるスーツケースから服を取り出し
出来るだけ着込もうと考えたけど、
足が言う事を聞いてくれない。
ほんの2~3メートル先なのに……。
私は縮こまるようにして身体を小さく丸めて
出来るだけ微動だにせず、無心でいるように徹していた。
どれ程の時が経っただろう。
もう、日付が変わった頃だろうか?
ポケットから携帯を取り出したくても
その動きさえままならなかった。
稽古であんなにもボロボロになっても立ち上がってたのに
恋って本当に凄いんだ。
私みたいなオトコオンナでも気弱になるんだから。
もう、このまま寝てしまおうか考え始めた、
―――――――その時!!
微かにエレベーターの駆動音が耳に届いた。
また、違う階で降りる人かもしれない。
一喜一憂するのは止めよう。
そんな風に思いながら、
再び縮こまって息を潜めていると………。