オレ様専務を24時間 護衛する


カツカツカツカツと徐々に近づく足音。


私は思わず瞼を開けるが、

長い時間閉じていた目が急に開いても

周りの明るさに眩んで視界がぼやけて見えた。



足音の持ち主が誰なのか確認する為、

ゆっくりと視線を上げてゆく。



ピカピカに磨かれた高級革靴。

滑らかな風合いのオーダーメードのスーツ。

細くしなやかな指先。

そして、仄かに漂ってくる高級フレグランスの香り。



顔を確認するまでも無く、分かってしまった。



逢いたくて、逢いたくて、

胸を苦しいほどに疼かせる張本人だ!!



「きっ………京………夜…様」

「ッ?!!」


彼の名前を口にした途端に涙が溢れ出して来た。


そんな私を驚愕の様子で見下ろしている。

何を言うでもなく、ただじっと………。


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