オレ様専務を24時間 護衛する
「会社の場所は分かるのか?」
「……大体は…」
ヤバい、ちゃんと調べておくんだった。
「助手席に乗れ。今日は俺が運転してやる」
「えっ、宜しいのですか?教えて頂ければ…」
「面倒だ。さほど遠くないから1回で覚えろ」
「ッ?!………はい」
1回?!
そんなの無理じゃない?
さほど遠くないって言われても…。
彼はササッと運転席に乗り込んだ。
私は仕方なく、素早く助手席に。
彼は軽やかな運転で地下駐車場から
パーキングゲートをくぐり、
眩い陽が降り注ぐ地上へと
滑るように車を走らせた。
現在の時刻、午前9時30分。
さすがに重役と言うべきか…、
通勤ラッシュの時間を過ぎているせいか、
道路は差ほど混んでおらず、
車は大通りを軽快に進んでいる。