オレ様専務を24時間 護衛する
5 封印した過去
京夜side
ニューヨーク支社長のダニエルとの打ち合わせを終え、
廊下で某物産の社長令嬢のバカ女と遭遇。
俺はすぐさま松波に『キスしろ』と命令したが、
恥かしいのか、目を瞑ったまま拒否し
ありえない事に俺の護衛を放棄した。
俺に近づいて来るバカ女は、
ところ構わず抱きつく系の部類。
追い払うのに他に手立てがなく、
仕方なく俺からキスを仕掛けた。
今まで『キス』をするどころか、
真面な『恋』ひとつした事が無い。
俺はこの時、初めてキスをした。
しかも、相手は男だというのに。
何をどうしていいのか分からず、
無我夢中にキスをした。
今から15年ほど前、
まだまだ『恋』という感情さえおぼろげで。
けれど、幼いなりにも
好き嫌い、善悪の理解は出来たし、
何より、自分の立場を思い知らされていた。
『御影グループの一人息子』というだけで、
親の言いなりになり、
俺と仲良くなろうと近づく娘たち。