オレ様専務を24時間 護衛する


クリーム色のふんわりしたワンピースを着て

目のクリっとした可愛らしい子だった。

彼女は親に背中を押され、

俺のもとへ歩かされたが、

一言も話さず、俺をじっと見つめるだけ。

キャァーキャァー騒ぐ事もなければ、

俺を煽てる事もせず、

ただ、じーっと見つめていた。


毎月の食事会にその子も来るようになり、

何度か会ううちに、

俺の中で何かが変わり始めていた。



その子はいつも黙ったまま、

俺の隣りに座るだけ。

他の子達と話もせず、

声が出せないのか?とさえ思うほど。

けれど、両親と普通に話す姿を見て、

俺とは話もしたくないのか?と…。


けれど、それが凄く新鮮で心地良かった。

何も話さなくても、

ただ時が流れる……それだけで。


元々騒がしいのが苦手な俺は、

大人しい彼女に、

同じ未来を見てくれるんじゃないか?

そう、子供心に思っていた。


そして、俺は……

彼女と会う度に惹かれて行き、

気付けば、彼女の事が…

『好き』になっていた。


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