オレ様専務を24時間 護衛する
「あの子達みたいに、誰かに何かをして貰おうと、ただ待ってるだけの女の子にはなりたくない」
「………」
「好きになって貰うんじゃなくて、私が好きになった人のお嫁さんになりたいの」
「………」
「心から好きになった人の傍に一生いたいと思うから」
「………」
「だから、もう……ここへは来ない。今日がお別れの日……ごめんね」
彼女はそう告げて席を立ち、
去り際に俺の頬にキスをした。
初めて抱いた『好き』という淡い恋心は
彼女に『好き』と伝える前に、
無残にも泡となって消え失せた。
それからの俺には
一緒にいても安らげる人は現れず、
どんなに沢山の人と会っても
彼女以上に思える人はいなかった。
心に棘が刺さったまま月日は流れ、
歳を重ねる度に近づく女は増すばかり。
そして、
俺の心の中には今も
彼女の言葉がリフレインしている。