オレ様専務を24時間 護衛する
俺も自分のカクテルを飲み始めると、
「京夜様のは何というカクテルですか?」
「ん?これか?」
「はい、自分のとは違いますよね?」
「ん、これは『ライム・フィズ』だ」
「中身は何を?」
「お前のと同じラムに、レモンジュースとシュガーシロップ、それとソーダを入れてある」
「へぇ~」
「ソーダの代わりにジンジャーエールで割れば、『ボストン・クーラー』だ」
「そうなんですか?やっぱり、京夜様は天才ですよ~。材料の種類に分量、それに混ぜたりする手法に……それと名前まで」
「好きだからな」
ここまでカクテルトークをした奴は今までいない。
皆、『モノ好き』くらいにしか
思ってないような奴らばかりで、
俺もそんな奴らとは一緒に飲みたくなかったし。
けれど、何故かコイツは違う。
この俺が『作ってやる』って気になるんだからな。
「京夜様、もう1杯!!」
「はぁぁぁ~?!お前、早ぇんだよ!!」
「だって、美味しいんですも~ん」
―――――ダメだ。